「介護保険って、そもそも何のためにあるの?」
そんな疑問を持ったことはありませんか。
今では当たり前のように使われている介護保険ですが、制度が始まったのは2000年(平成12年)4月です。それ以前の日本で、介護が必要になった高齢者を誰が、どのように支えていたのか。まずはそこから振り返ってみましょう。
「親の面倒は家族がみる」が当たり前だった
介護保険が始まる前、介護の中心は家族でした。
親が年を取り、寝たきりや認知症になると、家族が食事を用意し、入浴やトイレを手伝い、病院にも付き添う。「親の面倒をみるのは家族の役目」という考え方が、今よりずっと強い時代でした。
しかし介護には朝も昼も夜もありません。夜中に起こされることもあり、働いている人なら仕事との両立も必要です。「親のために頑張りたい」と思っても、家族だけで介護を続けることには限界がありました。
介護保険の前は「措置」の時代
家族だけでは支えきれなくなったときの福祉制度として、介護保険より前に中心となっていたのが「措置制度」です。
1963年に老人福祉法が制定され、その後、特別養護老人ホームや養護老人ホーム、ホームヘルプサービスなど、高齢者を支える仕組みが整えられていきました。
ただし、現在の介護保険とは大きく異なります。本人が自由にサービスを選び、事業者と契約するのではなく、行政が本人の状況と必要性を判断し、利用する施設やサービスを決める仕組みでした。
「行政が必要と認めて利用する」仕組み。
行政が責任を持って高齢者を支える重要な役割がある一方、利用者がサービスを自由に選びにくいことや、対象・利用方法が分かりにくいことなども課題になりました。
社会と家族のあり方が変わった
日本では高齢者が増える一方で、子どもの数が減っていきました。大家族で暮らす家庭は少なくなり、親と子が離れて暮らすことも珍しくありません。女性が仕事を持つことも一般的になり、「家族の誰かが仕事を辞めて介護する」という形を続けるのは難しくなりました。
さらに高齢者の増加によって、行政による福祉だけで介護を支え続けることにも限界が見えてきました。介護は「家族だけの問題」ではなく、社会全体で考え、支える問題へと変わっていったのです。
そして2000年、介護保険が始まった
こうした背景から、2000年4月に介護保険制度がスタートしました。
40歳以上の人が保険料を負担し、介護が必要になった人が要介護認定などを受け、必要な介護サービスを利用する仕組みです。訪問介護、デイサービス、施設サービス、車いすや介護ベッドなどの福祉用具も利用できるようになりました。
以前の「措置」
行政が必要性を判断し、利用するサービスを決める。
介護保険
必要な人がサービスを選び、事業者と契約して利用する。
「行政が決めて与える福祉」から、
「必要な人が選んで利用する福祉」へ。
「家族だけで頑張らなくてもいい」という仕組み
介護保険ができたことで、介護は少しずつ「家族だけで抱えるもの」から「社会全体で支えるもの」へ変わっていきました。
もちろん、家族の役割がなくなったわけではありません。家族だからこそできる支えもあります。しかし、「家族が全部やらなければならない」ということではなくなったのです。
介護サービスを利用しながら、家族も自分の生活を続けていく。そのための社会的な仕組みとして、介護保険は生まれました。
介護保険は、未来の自分のためでもある
介護は決して他人事ではありません。自分が介護を受ける側になるかもしれない。親や家族を介護する側になるかもしれない。誰にでも起こる可能性があります。
だからこそ、みんなで少しずつ支え合う。それが介護保険の基本的な考え方です。
ケイにゃんのまとめ
- 介護保険以前は、家族介護と行政の「措置制度」が中心でした。
- 高齢化や家族のあり方の変化により、家族だけで支えることが難しくなりました。
- 介護保険は、必要な人がサービスを選んで利用し、社会全体で介護を支える制度です。
- 「家族で頑張る」だけでなく「みんなで支える」ための仕組みです。
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※本コラムは介護保険制度を分かりやすく紹介する一般的な解説です。個別の申請やサービス利用については、お住まいの自治体、地域包括支援センター、担当ケアマネージャ等へご相談ください。
構成:添付原稿「介護保険とは何ぞや」全3ページをもとに、Web閲覧向けに見出し・要点・比較を整理しました。